緑が奏でる家

高齢のご夫妻の木造平屋の住宅です。敷地は山裾の住宅地にあり広さはあるものの複雑な形状をしていて周りを住宅に囲まれていました。幸い南側に道路と小学校がありひらけた眺めがあったので、そ50年以上前に開発された住宅街の端っこに不整形であるがゆえに家が建てられることもなく近隣住民に家庭菜園や花畑として使われていた空き地がありました。年月とともに樹木が生い茂り、山を切り開いて作られた土地がまた山へと戻りかけている、その豊かな自然の情景に魅せられた建て主がこの土地を購入したいということから計画が始まりました。周囲の住民からはこの土地ではまともな家は建てられないと言われるなか地盤強度の調査や建物の形状を検討しながら、自生する樹木や新たに植えた樹木をさまざまな視点から楽しめる住まいになるよう計画しました。けっして大きな床面積を持つ住まいではないですが、天井の高さを変えたり勾配をつけたり、部屋同士のつながりや視線の抜けを意識しながら日常の何気ないシーンが特別な気持ちよさを感じられるそんな空間づくりを目指しました。れを頼りにすべての居室が南に面する平面プランにしました。ただ街の喧騒もあったため塀や庭、ウッドデッキを配置して奥行をとり、穏やかな生活を守りながら開放感のある住まいになるよう計画しました。


大阪府 / 個人住宅 2階建て / 木造(在来工法) / 75㎡