敷地は大阪南部の山あいに広がる住宅地。その端に住宅用地として計画されながら変形した敷地のため住宅が建てられることなく数十年空き地として放置されている敷地がありました。年月とともに樹木が生い茂り、山を切り開いて作られた土地がまた山へと戻りかけている…その豊かな自然の情景に魅せられた建て主がこの土地を購入したいということから始まり、周囲の住民からはとても家が建てれるとは思えないと言われるなか、地盤調査や配置のしかた・建物の形状を検討しながら安心した家づくりができることを十分に確認した上で土地を購入し計画がスタートしました。
敷地西側に自生する樹木と北側に望む山、そして新たに植える木々をさまざまな視点から楽しめる住まいになるように計画。決して大きな床面積を持つ住まいではないですが、天井の高さを変えたり勾配をつけたり、部屋同士のつながりや視線の抜けを意識しながら日常の何気ないシーンが「まるで木々の中を散策している」ような特別で心地良い空間になることを目指しました。外壁の板張りや様々な方向に流れる屋根の形は今まで何もなかった敷地にこの建物ができることで周囲の木々と一体となった新たな景色となることを考え、これからも周りの環境や建物が時間とともに変化していくことが楽しみな住まいとなりました。
大阪府南部 / 個人住宅 / 木造(在来工法) 2階建 / 敷地面積 372㎡(112坪)/延床面積 75㎡(23坪)/1階 51㎡・2階 24㎡