大黒町通りの家Ⅰ

高齢のご夫婦の木造2階建ての住宅です。敷地は京都東山と鴨川に挟まれた昔ながらの細い路地で形作られた地域にあり、元々あった大きな二世帯住宅を解体し子世帯と敷地を分けそれぞれで戸建て住宅を建てる計画です。東に道路、西に寺院の庭を望むことができ南北は隣家がせまる東西に長い敷地です。南からの日差しがまったく期待できず東西からうまく光を取り込みため、東向きのトップライトと西面に大きな開口部と庭を設けることで間接的ではあるが日中どこからか日差しが届くように考えました。またそれぞれの居室が分断されたプランではなく、私の得意とする「繋がるプラン」によって広がりと豊かな居場所のある住まいになるよう計画しました。


京都市 / 個人住宅 / 木造(在来工法)2 階建 / 敷地面積 117㎡(35 坪)/ 延床面積 104㎡(31 坪)/ 1階 58㎡・2階 46㎡

ダイニングの大きな吹抜け、外部に突き出た板壁による庭とのつながり、グレーの漆喰で塗り込まれ低く抑えた天井などシンプルな平面から想像できない変化のある空間になっている。
玄関から奥庭を見る。光と影による落ち着きある空間が美しい。
ダイニングから吹抜けを見上げる。トップライトからの光が陰影をつくり、グレーの漆喰壁とラワン合板壁のコントラストが美しい。
トップライトがより立体的に感じられる十字型の梁。
寝室の窓は少し高い位置に設けることで外を歩く人からの視線をカットし、室内からは遠く東山の山並みを望むことができる。
書斎 隣接する寺院の甍と庭園を借景にしたピクチャーウィンドウ
荒く塗られた漆喰壁と力強い梁が美しい2階階段ホール。左奥の書斎へと格子天井をつなげることで広がりをつくり出している。
トップライトと井桁に組まれた梁が印象的な階段室。
レッドシダーの板壁や玄関戸、土壁のような凹凸のある塗装、深いガルバリウム鋼板による下屋、コンクリート平板を使ったアプローチなど現代の素材を使いながら和のテイストで仕上げた外部空間。