墨付けと手刻み

木造住宅というと大工さんが木材(柱や梁)を加工して組み立てることをイメージされる方が多いのではないでしょうか。ただ街中で見かける木造のほとんどはプレカットという機械で木材を加工する方法で建てられているため、大工さんがひとつひとつ木材を加工して建てている家はほぼありません。けっしてプレカットが悪いわけではなく、加工が均一化しどのような大工さんが建てても一定の仕上がりになるので建物の性能が維持しやすく、加工時間の短縮やコストの削減になるというメリットがあります。では大工さんが加工する「墨付け・手刻み」はどのようなものかというとどのように木材同士を継ぐかを考えながら加工する線の印をつけていくのが「墨付け」と言い、その線に合わせてノコギリやノミを使って加工するのが「手刻み(刻み)」と言います。このような加工をするには木の性質(クセ)である乾燥による収縮やひねりを見極めないといけません。見極めができないと将来的に継いだ部分が開いてきたり、歪みが出たりしてきます。特に梁や柱を見せたり、木を生かしたデザインをするときはとても大切になります。しかし最近はこのような加工ができる大工さんが少なくなっていて、特に若い大工さんがどんどん少なくなっています。そんな中「豊里の家」で施工をしていただく山本博工務店さんでは技術を受け継いでいくため大工さんの育成にも力を入れておられます。
「技術と美しさ」「コストと効率」それぞれの良さをいかした家づくりが両立して続いていけばと願います。